翼の折れた鳥たちは

◇◇◇

「いいですか?今回は重光先生が帯同してくれるってことで特別許可がおりました」

看護師長がまるでお母さんのようにチカラくんと敦也くんに言い聞かせる。

「見学が終わったら寄り道せずに、真っすぐ病院に帰ってきてください」

「はい」

楽しみで仕方ないという気持ちを隠し切れない敦也くんとチカラくんが、元気いっぱいに師長の話に返事する。

なんだか、遠足に出かける前の小学生みたいだ。

「敦也くんに何かあったら……」

「すぐに病院の方に連絡差し上げます」

看護師長の言葉を遮るように重光先生が笑いを押し殺したような表情で口を挟む。


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