翼の折れた鳥たちは
「坊ちゃん、どうしたんだい?」

ぼ、坊ちゃん?!

隣の車いすに座っている白髪の可愛らしいおばあちゃんが、ふと俺に話しかける。


午後3時。

今日からリクライニングの車いすから普通車いすに変更になった俺は、座位訓練の一環としてこの場所に座っている。

座っている、というよりリハビリ終わりから今までここに座らせられている。


ナースステーション前のカウンターには、問題のあるおばあちゃんたちが並べられている。

急に大声を出すおじいちゃん、足を怪我しているらしいのに立ち上がって歩き出そうとするおばあちゃん、何度もナースステーションの前をウロウロして部屋を探しているおじいさんがソファーに先ほどから座らされている。

その端に、俺が座らされている。

まぁ、ある意味俺も問題児に間違いはないけど。


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