翼の折れた鳥たちは
「俺のリハビリ、絶対遅れてるんでしょ?」

「そ、そんなわけない……」

痛いところを突かれた私は思わず口ごもる。


「星原さんってさ、嘘つくの下手だよね」

そう言いながら太陽みたいな笑顔を浮かべて榎田さんが笑ったから、私は口を尖らせた。

いつの間にか榎田さんは私に敬語なんて使わないし、私のことからかうことも増えたし、もうこれじゃあどっちが年上か分からない。

私の方が2歳も年上なんだけどなぁ。


「それで、俺の目標って何?」

さすが理学療法士を目指していた榎田さん。
それを尋ねられると、答えないわけにはいかない。

目標を知りたいっていう患者からの個人情報開示請求なんだもん。

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