微笑む女『短編』
愛する男の背中をきつく抱きしめ、女は言う。
『ねぇお願い、泊まっていって?一人じゃ、眠れないのよ』
男は笑い出す。
『娘も「眠れない」と言うんだ。まったく、中学生の女の子みたいなこと言うんだな。』
男の言葉に少し頭に来て、女は言い返す。
『なによ!娘さんが眠れないのは、近所の犬が夜中吠えてうるさいからでしょう?』
男は驚いて、女を見る。
『お前、なんで近所の犬のことなんて知ってるんだ?』
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