混戦クルーズ! 造船王は求婚相手を逃さない
 やっぱりそうだ! アレンは、ヘンリーの予想が大きく外れていない事に拍手をしそうになっていた。

 縁をつなぐ為に、婚姻をともなうのは、貴族や王族であればよく聞く話ではあったが、実業家同士でも、まして、軍関係であってもあり得る事なのだろうか、と、最初、社長、ヘンリーの話を聞いた時、アレンは思ったものだが、今、現実として目の前で話を聞くと、よくある話なのかもしれないと、納得した。

 海軍側からの動きに、対抗する手段としてブルームーン商会を選んだのだとしたら、ガブリエルの対策の線は悪くは無い。けれど、もしそうならば、根回しが不足している。

 ましてや、意中の相手が別にいるなど。

 結果として、ブルームーン商会のイライザと、サンシャイン・ワールド誌記者のイザベラが、偶然にも同一人物だったからよかったものの、もしそうでなかったら、縁は破談、海軍相手もどうなっていたかわからない。

 脇が甘すぎないか、ガブリエル・イザード。

 アレンは最初の印象に比べて、どこか情けない様子のガブリエルを思い浮かべていた。

 そもそも、アレンの女装を見抜けていなかったというのも、どうにも不安だ。

 まあ、それは、今、目の前にいる男についても同様の事が言えるわけだが……と、アレンは目の前にいる、マイケル・ニュートンを見て思った。

 いやいや、あなどってはならない。アレンはガブリエルとマイケル、ひいてはイザード造船をあなどりそうになっている自分を戒めるようにかぶりを振った。

 どれほど間抜けでも、目が節穴のように見えても、急成長した造船会社の屋台骨を支えている二人なのだから、あなどらせる為にわざとそのような行動をとっている可能性もあるのだから。
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