二度とない、もう一度。

ただのセフレ。

「陽菜?どうした?」



お弁当のおかずをひとつも口に運ばない私の姿を見て遥斗が言った。

今日は珍しく遥斗と二人きりのお昼休み。



真奈美は風邪をひいてお休み中。




「ううん…なんでもない」




"結婚"


先生から聞かされたその言葉は
私の心をずっと苦しめている




あの日、先生はそれだけ伝えると帰ってしまった。




奥さんのいる場所へーーーー




なんで私、一度もそんなことを考えなかったんだろう。



なんなら、彼女がいるかもとか
そんなことすら考えたことなかった。




他の生徒とご飯に行ったくらいで嫉妬して…
まさかの結婚って…




「遥斗は…無理ってわかっててもやりたいことは…どうする?」

「なんだそれ」

「いーから!」

「んー、まあそれでもやりたいならやるだろ」

「そ、それだけ?」

「やってみなきゃわかんねーだろ」




やってみなきゃ…


でも……



「とりあえずさ」

「?」

「早く笑ってよ、陽菜」




ーーーーーー遥斗



いつもそばで支えてくれる遥斗に
この時ばかりは本当に感謝したかも


ただの幼馴染じゃない

大切なーーーーーー家族なんだ





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