朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「……降渡」


「うん?」


「ごめん、ね……高校のころ、とか……」


「別に謝ることじゃないって。俺も理由言ってなかったし」


「でも――」


「そんなに言うんだったら、一つだけ俺の言うこと聞いてもらってもいい?」


「……この流れで結婚しろは卑怯よ」


「そんな節操ナシじゃねーって。りゅうがもうすぐ結婚するんだ。それに反対しないでやってほしい」
 

俺のお願いに、絆は三秒ほどぽかんとしたあと、くわっと目を見開いた。


「………はあ⁉ あの節操ナシが⁉ 結婚⁉」


「絆声大きい」


「大きくもなるわよごめん! ……はー。ほんとなの? 神宮が結婚て」


「うん。いつになるかはまだ決まってないけど、相手の親御さんも了承済み。公認だから心配しなくていいよ」


「神宮の心配なんかしないわよ。相手の心配はするけど。……わたしが反対しようが、別に神宮気にしないでしょ? わたしが式に呼ばれることもないし」


「でも絆は俺の女だろ? 兄弟みたいなモンの伴侶には祝福してほしいじゃん?」

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