朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「弟のやり口なんで心得ようとしてるんだけど……なかなか生来のものがあって、弟ほど出来ていないけど、ですが」
「…………」
えーと……取りあえず、否定しなければ?
「別に否定されても肯定されてもどっちでもいいですよ。あなた方のこと、誰に言う気もありません。話はそれでいいですか?」
――神宮先生じゃない。
それしか、頭に浮かばなかった。
少なくとも俺が今対面しているこの人は、俺の――俺たちの知る、教師である『神宮先生』ではない、ことだけは確信だった。
他人を見透かすような眼差し。人の良さなんて欠片も見えない。
だれだ? このひとは……。
「……咲桜と付き合ってること、否定しないんですか?」