朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


聞こえた声に、はっと顔を向ける笑満。


「は――」
 

遙音先輩、だった。


険しい顔で、一直線に笑満のことを見て来た。


「笑満ちゃん、ごめん」


「えっ? わあ!」
 

言うなり、笑満を抱き上げた。


一気にざわめく教室内。「な、夏島先輩⁉」「笑満いいなー!」「カッコいいー!」


「一緒に来て」
 

姫抱きに抱えあげられて、笑満は目を白黒させた。


先輩はいかめしい顔の私に瞳を遣る。
 

睨みあったのは一瞬だった。


「咲桜、頼。笑満ちゃんもらうから」


「どーぞ」


「笑満、首に手ぇくらい廻せ」
 

即座に答えた私と、頼からいらん助言を受けて、笑満の顔が真っ赤になった。


「あの――」


「じゃ、失礼」
 

そのまま先輩が笑満を連れていってしまった。
 

ひゅん。

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