朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「………」


「遙音先輩はともかく、笑満のことで出歯亀ったら赦さない」
「ごめんなさい」
 

いそいそカメラの準備を始めた頼の顔の前に、横凪ぎに拳を突き出した。


頼は仕方なしにそれを仕舞う。


「おお、やっぱ咲桜だね」


「咲桜も先輩もカッコいいー!」


「さすが日義の飼い主」


「つーか怖―」


「夏島先輩と笑満ちゃん、何あったんだろー!」


「お姫抱っこで連れ去っちゃった……」
 

珍獣扱いの頼と、謎の評価の私だった。


『日義の飼い主』という呼ばれていることは承知しているけど、今更気にしない。


「………」
 

何があったかはわからなかったけど、たぶん、先輩なら上手くやってくれるだろう。
 

……笑満の一番は、もう遙音先輩だから。

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