朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】


「え⁉ なんで⁉」


「なんでも。そんで男らしい認識あったのか」


「男らしいというか、私の言動の基礎って在義父さんだから」


「………」
 

心の中でため息をついた。在義さんの影響大きいな。


ファザコンとマザコンの混合技、めんどくせえ。


しかしそれなら在義さんは桃子さんに跪いたことがあるのか? やりそうだ、あの人なら。


そしたら俺って今桃子さんの位置なのか? ……やめてくれ。


「咲桜は少し落ち着きなさい」


「……はい」
 

咲桜は悄然(しょうぜん)と肯いた。


「やっぱり嫁は慎ましい方がいいよね……」
 

そういう解釈になんのかよ。咲桜は真っ直ぐ過ぎて色んなとこにぶつかる。


「………」
 

そして、ぴん、と咲桜の額を弾いた。


「痛っ⁉ こ、今度は何?」


「嫁さんは、咲桜だからいいんだよ」
 

俺がさらっと言うと、咲桜は額を押さえて真赤になった。

< 85 / 295 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop