朧咲夜4-朧なはなの咲いた夜-【完】
「え⁉ なんで⁉」
「なんでも。そんで男らしい認識あったのか」
「男らしいというか、私の言動の基礎って在義父さんだから」
「………」
心の中でため息をついた。在義さんの影響大きいな。
ファザコンとマザコンの混合技、めんどくせえ。
しかしそれなら在義さんは桃子さんに跪いたことがあるのか? やりそうだ、あの人なら。
そしたら俺って今桃子さんの位置なのか? ……やめてくれ。
「咲桜は少し落ち着きなさい」
「……はい」
咲桜は悄然(しょうぜん)と肯いた。
「やっぱり嫁は慎ましい方がいいよね……」
そういう解釈になんのかよ。咲桜は真っ直ぐ過ぎて色んなとこにぶつかる。
「………」
そして、ぴん、と咲桜の額を弾いた。
「痛っ⁉ こ、今度は何?」
「嫁さんは、咲桜だからいいんだよ」
俺がさらっと言うと、咲桜は額を押さえて真赤になった。