ひだまり
「おはようございます。」ニコッ

いつものように挨拶をして…バスに乗り込んだ…………

唯先生。

そう……今日はまた……唯先生なのだ。

「えっ?今日も先生??
今日は梓先生の当番だったよね?
また…遅刻?」

そんなことは、分かりきっているのに…

ついそんな意地の悪い言い方をしてしまう。

「あっ………いえ…。………その……はい。」

「ねぇ~先生。
園庭掃除や小型バスも…変わってたよね。」

ここ最近だけで……この他に後2つ変わってる。

思い出すと益々イライラしてきて……

女の子相手に絶対やってはいけないような……舌打ちとため息が出た。

「先生……何を考えてる?
どうして……人の仕事まで頑張るの?
先生がやってることは…誰の為にもなってないよ。
梓先生を甘やかせて……ダメにしてること……気づかない?
先生自身だって……
いつもニコニコ笑って……無理して……
倒れたら意味ないんだよ!」

感情のまま口にして……

落ち着きを取り戻して顔をあげると………

大きな瞳に涙をためた彼女がいた。

しまった!

…………………やってしまった。

涙を落とさないように頑張る姿に……ハンマーで殴られたような衝撃をうけた。

そう、この子は…誰よりも人のため。

自分をよく見せるために……なんて計算は出来ない。

純粋に誰かのため。

今、涙をこぼさないのも……オレに気を使わせないため。

この数ヵ月……彼女の人となりを見てきたはずなのに……
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