ひだまり

始まり

新学期

初詣から３日。

オレは居酒屋で、ある人物を待っていた。

「おぉ～悠、お疲れ！」

「悪い、呼び出して。」

「可愛い弟ちゃんに呼ばれるなんて、お兄ちゃん冥利につきますよ！
ビールでいい？」

二人分のビールとおつまみを頼んで

「相談がある。
園長………オヤジ達には内緒で……」

「あぁ～分かってるよ。
叔父さんに知られたくないって事は………唯ちゃん関係？
まさか結婚？？」

「いや……付き合ってもない。」

忘年会からのいきさつと、彼女の抱えてる悩み……オレの気持ちを話した。

「悠らしいな。
オレならとっとと告白して、彼女として…一番近くに置いとくけどな…。
見守ってたって………。スゴいよ。
で？……オレに相談って…告白の仕方？？？」

からかいながらも、真剣に聞いてくれる兄貴を……オレは結構信用している。

「いや……、まだしない。
もう少し、彼女の不安がなくならないと………
告白したら…もっと悩ませてしまう気がする。」

「悠君は、本当に優しいですねぇ～
………お前の優しさが、唯ちゃんに伝わるといいな！」

「それより……彼女の家の事……。
どう思う？？
オレには…………終わってるようにしか思えなくて………。
このまま帰って来ない家族を待たせるのって……残酷じゃない？
友達といても……
『家族が……もしも私のいない間に帰って…"一人は嫌だ"って…また出掛けたらと思うと
心配でゆっくり遊べないんです』って言うんだ…
でも……家族が帰って来るのって……月に数回らしいんだけど…。
『だったら、寂しい？』って聞いても……『大丈夫です』って笑って。
せめて、『辛い』とか『淋しい』って…泣き言言ってくれたら安心なんだけど…
何があっても『大丈夫』って言うんだよ………。
義姉さんの時……兄貴が支えになったよね？
どうやったの？？
まだ大学生だっただろう？」