ひだまり
「明けましておめでとう。」

新年一番の挨拶は……彼女だ。

年末、年始も一人だと言う彼女に

「オレも一人だから、一緒に祝おう!」と。

兄貴に電話で…「年が明けてから帰る。」と伝えると

「何々??唯ちゃんと進展があった?」とからかわれた。

兄貴にバレると………園長に筒抜けになってしまう。

せっかく、電話だと緊張せず笑って話してくれるのに……

この貴重な時間を邪魔されてたまるか!!

彼女の笑顔を守るため……

正月は気を引きしめて生活すると誓った。




「おぉ~久しぶり。」

年が明けて……元日。

朝一で実家に寄って……直ぐに仲間と合流した。

さすがに夜中に電話して…

仮眠をとって直ぐの初詣は辛い。

それでも今日、オレはここに並びたかった。

「悠がこの御守りを欲しがるとは……」

「ついにお前もゴールイン??」

「今日は彼女と一緒じゃないの?」

悪友達に冷やかされながら並んだのは……

最近ネットでも話題になり始めた、オレの田舎の御守り。

悪いことや嫌なことを……代わりに引き受けてくれるらしい、便利な神様みたいだ。

女、子供には人気があったが……

オレは現物を見るのも……今日が初めて。

所詮、神頼み。

でも……

もしも…彼女の淋しさが和らぐのなら。

並んででも、手にいれたい。
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