龍使いの歌姫 ~卵の章~
レインは、目の前に降ってきた少年に目を見開いた。

何故なら、少年の髪はレインと同じ、真っ赤だったからだ。

けれども、目の色は違う。

レインの目は髪と同じくらい赤いが、少年の目の色は、まるでティアの放つ光のように金色だ。

黄色ではなく、もっと神々しい金色。

「………」

驚いたように目を見開いたレインと、同じく驚いたように目を見開く少年。

「お前……まさか、ディ―」

「……綺麗」

気付けばそう呟いていた。

「……は?」

少年は怪訝そうにレインを見つめる。

「貴方の目、凄く綺麗だね」

感心したような、感動したような様子で、レインは頷いた。

「急に何を言い出すんだお前」

一体何のつもりだと視線で訴えると、レインは首を傾げる。

「思ったことを言っただけだよ。綺麗だと思ったからつい。……貴方も、赤い髪なんだね」

「!…………だったら何だ?」

ピクッと、少年は眉を動かしてからレインを睨む。

「私以外にも、赤い髪の人がいたんだなって、思っただけ。特に理由はないよ」

本当は聞きたいことがあったのだが、少年の持っている槍に驚いて、それしか言えなかった。

「貴方は、誰?」

「お前ごときに名乗る名は無い。それより、お前の抱えているそれは」

少年はレインの腕の中にいるティアを見る。

「龍の卵だな。……どこで手に入れた?」

「……名前も教えてくれないような子に、私だって教えないよ!」

「まぁ、どうせどこかから盗んだんだろ。……それはお前のおもちゃじゃない。渡してもらうぞ」

少年はレインへと槍を向ける。

対するレインはそれに怯えながらも、前の時のように卵を背へと隠した。

「駄目!」

「……なら、力ずくで奪うまでだ」
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