イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる


私は渋々立ち上がり、のそのそとトオルさんの近くまで歩いた。
トオルさんはそんな私の手を引き、自分の元へ引き寄せる。


「今日の加恋ちゃんは本当に綺麗だ…

この窓から見える百万ドルの夜景よりも、間近に見える壮大な東京タワーよりも、もっと言ったら、この世界に存在する美しいと言われる全ての物や全ての人よりも、加恋ちゃんは綺麗だし魅力的だよ…

だから、そのちょっと釣り上がった大きな瞳も、真っ白ですべすべの凛とした首筋も、中の中くらいだけど形のいい胸のふくらみも…」


「もう!」


そう言って、私はトオルさんの頬を軽くつねった。


「加恋ちゃんのその怒った顔も、ふんわりとしたいい匂いも、俺だけのものにしたい…」


私はいつの間にかトオルさんの胸の中に顔をうずめていた。


「もう、トオルさんのものだよ…」


トオルさんはまたため息をついて、私の頭のてっぺんにキスをした。


「……そんなにモデルの仕事をやりたいのか?」


私は首を横に振った。
でも、このビッグチャンスは私の胸に問いかける。
こんな夢のような舞台に立つチャンスは二度は巡って来ないよと…





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