イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる
加恋の近くに友達がいるのか、キャッキャと楽しそうな女の子達の声が電話口に聞こえてくる。
加恋はいつもとは違う明るい声で、事務所の電話番号と社長の名前を教えてくれた。
「あ、それと、トオルさん、今日はお迎えはいいからね。
六時限目がなくなったから、お友達と映画を観て帰って来るから」
「うん、分かった。
気を付けて帰って来るんだよ」
俺はそう言いながらちょっとだけ泣きたくなった。
その映画、俺も一緒に観に行きたい。
こんな事で悲しくなっている俺は、加恋がニューヨークへ行ってしまったら死んでしまうかもしれない…
俺は仕事の合間に加恋のモデル事務所に電話をした。
あいにく社長は留守で、秘書の佐々木さんという人と話をした。
佐々木さんは俺の事をよく知っていてくれて、社長に会いたいと話したらすぐにアポイントを取って折り返し電話をすると言ってくれた。
そして、明日の午前に社長に会う約束を取り付けた。