イケメンエリートは愛妻の下僕になりたがる



俺にはその気は全くないが、どういうわけだかこの手の男によくモテる。


「いやいや、そんな大した会社でもないですよ。

何だか、噂が噂を呼んで、いい風に誤解されてるみたいですけど」


もう町田という男は、加恋ではなく俺の方に釘付けだ。
この視線に残念な事に慣れてしまっている俺自身も、どうしようもない奴だと思うけど。


「それで、町田さん…
ちょっと相談があるんですけど…」


俺のその言葉に、町田という男は体を前に乗り出してきた。


「加恋の体作りは、僕の方でやってみようと思ってます。
料理も得意な方だし、あと、ボディに関しても知り合いで極めている人間がいるので、そいつに相談しながらやってみようかと…

あ、もちろん、町田さんにも相談させていただきます。
個人的に連絡先を教えていただければ嬉しいかと…」


そして、完璧に手を引いてもらうために、その手のイケメンを紹介してやるよ…とは、この場所では言えないけれど。

予想通り、町田は微笑んで頷いた。
バイはバイでも、男よりの人間でよかった。
映司みたいにバイでも女よりの人間もいるから。

そこから先の話は、トントン拍子に進んで行った。
もちろん、俺のやりたいように誰にも有無も言わさずに。

あ、それと、明智君にも、一つ情報を提供しなくちゃ。
その町田っていうトレーナーは、女の心を上手に掴めるバイセクシャルな人間だという事をね。



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