誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~
いい年をした男として、これはどうなのかと、少し情けなくなってきた。
「反省する……と、知人男性は言うと思う」
「そうか」
瑞樹は切れ長の目を細めて、面白そうに微笑む。
ダメ元だと思っていたが、意外にも実のある会話になったようだ。
「お前が恋に迷ったら、今度は俺が話を聞いて、アドバイスをしてやるからな」
半分負け惜しみと、照れ隠しもあり、そんなことを口にしたのだが、
「俺がお前にアドバイスだと? ありえんだろう。俺に抱かれたくない女が存在するはずがない」
さすが天下の南条瑞樹、驚くような言葉をあっさり言い放つと、
「――じゃあな。とりあえず、あまりいい子になるなと伝えておいてくれ」
いきなり席を立ちあがると、用事は終わったとばかりにバーを出て行ってしまった。
嵐のようにやってきて、絡んできたかと思ったら、急にいなくなる。
いったい何をしに来たのだろうと思ったが、おそらく瑞樹のただのきまぐれだろう。彼には昔から、そういう自由なところがあった。