誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 閑は夜、電話してくれると言っていたが、父が戻ってきたらそれどころではないだろう。

 送ったメッセージは既読にならなかったが、とりあえず【父の帰宅を待って、またわかったらこちらから連絡します】という言葉で閉めた。

「電話、したかったな……」

 小春はスマホの画面を見つめながら、深いため息をついた。




 それから小春は、父の帰宅を待った。

 店に電話をしてもよかったが、父は仕事中に娘からの電話に出たりはしない。

 娘を溺愛してはいるが、それとこれとは話が別だ。なによりも自分の仕事に誇りを持っており、家庭を優先することはない。

(そのせいで、一度うちはダメになっちゃってるわけだけど……もしかして二度目?)

 そうなるとさすがに辛い。

 美保は本当に優しくて、素敵な女性だ。彼女を悲しませたりするような真似を、父にしてほしくない。


< 218 / 310 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop