誘惑前夜~極あま弁護士の溺愛ルームシェア~

 小春は溜息をつき、とりあえず自分の部屋に荷物を置いて、うっすらと汚れた家の中を軽く拭いて、掃除して周った。

 それから、時計の針が夜中の一時をまわったころ、ようやくドアのカギが開く音がした。
 掃除を終えて、お風呂を済ませていた小春は、そのまま玄関に向かう。

「お父さん、お帰りなさい」
「っ、こっ、こっ、小春!?」

 黒のウールのコートを着た父は、玄関に出迎えた娘を見て、ひっくり返りそうなくらい驚いていた。それもそうだろう。今日帰るとは一言も言っていないので、まさに青天のへきれきに違いない。

「――おっ、お前、どうして? 年末じゃなかったのか?」

 父――佑二はあきらかに挙動不審になり、視線をさまよわせながら、ハハハと笑った。

「そのつもりだったけど……用事が出来て」

 小春はそう言いながら、父をじっと見つめる。

「なんだ?」

 その小春の意味深な視線を受けても、父は答えようとはしなかった。何事もなかったかのようにさっさと靴を脱ぎ、家の中へと入っていく。

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