明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
でも私はあきらめない。
絶対に彼の命を空になんてやらない。


「行基さん、汗を拭きましょうね。今日はよい月夜ですよ。早く起きて一緒に見ましょう」


何度も話しかけ、彼の回復をひたすら祈る。

彼に添い寝をしながら何度も名前を呼びかけていたのに、まともに眠っていないせいか時折意識が遠のいてしまう。


「あや」
「えっ……」


すると、誰かが私の名を呼んだ気がして飛び起きた。

外はうっすらと明るくなりかけている。


空耳? 

ハッとして行基さんの顔を見つめる。
しかし、目を閉じたままだ。


「あや」
「行基さん? 行基さん!」


落胆したのもつかの間。
彼がゆっくりと目を開いていくのを見たら、感動のあまり顔がゆがんできてしまった。

笑顔を見せたかったのに、どうやら無理らしい。


「はー、生きていたのか」
「当たり前です」


涙をこらえようとしたのに、目尻からあふれてしまう。
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