明治蜜恋ロマン~御曹司は初心な新妻を溺愛する~
「心配かけたな。あやはケガをしていないか?」
「はい。行基さんが守ってくださっ——」


声が続かない。
感激でむせび泣くと、彼は私の手を強く握りながら笑った。


「落ち着きなさい」
「はい」


返事はしたものの、涙は止まらない。

生きていてくれた。
行基さんは死ななかった。


「眠っている間、ずっと誰かが俺を呼んでくれていたんだ」
「はい」


それは私だ。


「あや。もう一度隣に寝て」
「い、いえっ」


目覚めた彼の隣に自分からは恥ずかしくていけない。


「血を失ったからか寒いんだ」
「えっ!」


驚き彼の左手を握ると強い力で引かれて、さっきまでと同じように横に寝そべってしまう。


「すまん。お前が頑固だから嘘をついた」
「行基さん!」


すごく焦ったのに。


「そんなに怒るな。ほら、いつものように足を温めてやる」


彼はそう言うと、自分の足の間に私の足を挟み込む。
そして、自由な左手で私を抱き寄せた。
< 181 / 332 >

この作品をシェア

pagetop