キラキラと光り輝く、優しい笑顔に包まれて
肌寒い中、自転車に乗って来たのだから手は冷たいはず。なのに陽亮の手は温かくて、一瞬だけれど触れた場所が熱を持つ。

もう落とさないよう鞄をしっかり握り、陽亮を見ると照れて目を逸らした。どう答えていいやら迷い黙り込む。


「考えといてくれる?」


逸らした目を私に向け、不安げな顔をしている。そんな顔されたら拒絶するには忍びなく、小さく頷くしか出来ない。


学校以外での陽亮を知りたいってのも本音。でも男の子とデートをまともにした経験のない私は、頷くので精一杯だった。


「じゃあ先行くから」


ポンッと頭を叩き私の横を過ぎ去る陽亮の顔は嬉しそうで、その表情が目に焼き付く。


残された場所に少したたずみ、それから陽亮の後を追うよう校舎へ向かった。


自然と顔が綻ぶのを感じ、パンパンッと自分の両手で頬を叩き元に戻す。不安より幸福にベクトルが向いているみたい。


とにかくみんなに早く相談したいし、どうすればいいか恋愛講師たちの指示を仰ごう‼
こういう時は経験値を遥かに上回るツバキとカエデに話すのが1番。


サクラもきっと真面目に相談に乗ってくれるはずだから、上履きに履き変えると混雑した廊下をぬいながら教室まで走った。
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