キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
ポロポロ流れる涙を……優しく拭ってくれる先生。

沢山の思いを………自分の胸に押し込めて……

何もなかったかのように………唯を優先してくれる。

「唯も………大好きだよ。……………愛してます。」

抱きしめた先生が……そっと髪に触れて

………………オデコにキス。

「怖がらせたらダメなのに………我慢が辛い~」って

クスクス笑いながら……ギュッと抱きしめた。

想像していたファーストキスは………

予約の時からドキドキで………

キスをしたら大人になれるって思ってた。

なのに……現実は『子供なんだ』と………改めて実感させられた。

先生の深い愛情に助けられて、ちょっとずつ前に進めてるとは思うけど

いつも引っ張って前を歩く先生は……大変だよね。

いつか対等に隣を歩ける時がくるのかな?

一人であれこれ考えていたら

「………………やっぱり……怖かった?」って…申し訳なさそうに聞く先生。

………………………優しいなぁ~

「先生…………ごめんね。……………
ファーストキスは……玄関でしたキスだよ。
馬鹿な唯が………先生の気持ちを全く考えないで………
一番大切な人を苦しめた…………あのキス。
これから一緒に生きていく中で……一番忘れたらいけないキスだから……。
……………大人になるね。
今すぐは無理でも…………頑張って大人になる。
いつか先生の横を自然に歩けるように……それまで、もう少し手を引いていて。
もう絶対に………この手は離さないから。」

優しいまなざしを向けてくれる先生に…

目一杯背伸びをして…………

チュッ。

「これは……誓いのキスです……。」

唯からのファーストキスに、真っ赤になる先生。

「唯ちゃん………理性が飛びそうです。」

困った顔の先生に

「今日は色々あって疲れたね。シャワーを浴びて、寝よう!」って

パッと腕を解かれちゃった。

もしかして、照れたのかなぁ??
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