キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
本当に、みんな…………仲が良いなぁって感心していたら

「ちょっと………いい??」って

いつになく遠慮気味に話す、梓ちゃん。

「アズ、何?」

「また、旅行の口裏合わせ??」

「彼氏と、ケンカした?」

「まさか、子供が出来た!?」

口々に、勝手な事を言うみんなをムシして…………

『私、結婚することになったから!!』って……………。

「「「えぇっ!!」」」

「「「はぁ~???」」」

反応は、それぞれ違うけど…………

ええっ!!!だよ。

梓ちゃんが結婚って………。

「彼氏の転勤が決まって………ついて行こうって……思ってるんだぁ」

「えっ……………。
梓ちゃん………いなくなっちゃうの???」

嬉しい事だって、分かってるのに…………悲しくなっちゃう。

「あぁ~ん。唯ちゃん、そんな顔しないでよぅ~
唯ちゃんに泣かれるのが嫌だから………
中々、決心がつかなかったんだから。
歌の歌詞じゃないけど……ポケットに入れて
連れて行きたいくらいなんだからぁ。」って笑いにする梓ちゃん。

「いやいや、連れて行かれては…………困ります。
オレのだから。
それより、来年の求人をしないとなぁ~」って……

「ウワァ!冷たい!!
彼女の友達が、離れて行くって……泣いてるのに。
求人って………。」

「ひっど!!」

「唯ちゃん!別れな!!」

口々に先生を責める言葉が………

唯も………先生らしくないなぁ~って思ってたら

「いや、先生が正しいよ。」って庇ったのは、以外にも梓ちゃん。

「先生、ごめんね。もう………学生の採用………始まってるもんね。
本当は、直ぐに園長先生に言うべきなんだけど……
先に、このメンバーに話したかったから………。」

「うん、分かってる。
先生が、安心してお嫁に行けるように……
頑張って良い人を、探すね。」って………

そっかぁ~。

これが先生の優しさなんだね。

やっぱり、先生は先生だ。
< 86 / 149 >

この作品をシェア

pagetop