キンダーガーテン三   ~それぞれの居場所に~
パニックになる唯が分かるように、順をおって話してくれる洋介さん。

「先ず、彩ちゃんの事が好きな俺に……偶然会ったんだよね?
彩ちゃんに彼氏がいることを聞いてた唯ちゃんは…………
俺が可哀想になって、泣いた。」

「うん。だって、洋介さん………本当に良い人だから。」

「ありがとう。
それで、このメンバーを呼び出した。
これだけ言ったら………分かるよね?
特に、彩ちゃん!」

びくっとする彩ちゃん。

何を怒られてるの???

「ごめん、唯ちゃん。」

「唯ちゃ~ん、ごめんね。」

「唯ちゃん、本当にごめんね。」

「ごめん。」

三人と先生が謝る中、一際大きな声で

「唯ちゃん…………ごめんなさい。
私がちゃんと言わなかったから………悲しい思いをさせて。
あのね……………
今お付き合いしてるのって……………洋介さんなの……。」

……………………………洋介さん??…………

……………洋介さんって…………この洋介さんだよね??

「本当???」

洋介さんに確認する。

「うん、本当。
ごめんね。俺のために涙流してもらったのに。
だから、申し訳なくってこのメンバーを呼び出したの。
こんな純粋な子をからかって。
これからは、お兄さんに言いなさい。いつでも怒ってあげるから。
どうせ彩ちゃんのお兄さんは卒業したから
唯ちゃんのお兄さんになってあげるよ。」って。

「げっ!!
洋ちゃんがお兄さんって……最悪。
怒らしたら残り物のパン………もらえないじゃん!!
せっかく彩の彼氏になって、貰いやすくなったのに~」って文句を言う夏苗ちゃんに

「怒らせないと良いだけだし………
第一、今まで十分持って行ってたからね!
残り物ではない物ばかり…………」

「まあまあ、細かいことは言わないの!
それより、問題も解決したし………
彩と洋ちゃんのカップルも揃ったことだし!!
先生ん家でご飯食べよう。」

「あっ!それ良いね。
だったら、彩ん家にしよう!
先生ん家だと唯ちゃんの負担が大きいから。
先生ん家は、週末じゃないとねっ!」

「ヨシ!だったら、買い物班と調理班に別れるよ!」

すっかり話しがまとまった四人は………

さっさと準備に取りかかり始めた。

「ご愁傷さま。」

洋介さんに向かって、ケラケラ笑う先生。

もしかして……さっき洋介さんが出掛けようとしてたのって……

彩ちゃんとデートするためだったのかな??

唯が泣かなかったら、今頃デートしてたと思うと申し訳ないなぁ

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