枯れた華には甘い蜜を
事の始まり
「いったい、この損失をどうしてくれる!!!」

上司の怒鳴り声を、雅は左耳で聞いて右耳で流していた。

正直な話、上司が自分にたいして怒鳴っている内容について詳しくは理解できない。

何せ、自分が全然関わっていない仕事である。ましてやこの仕事は、怒鳴っている上司本人が受け持っていた仕事だ。

しかし、どうも上司はいろいろと失敗をして、会社にとって大きな損失をしてしまったらしい。正直言って、ざまぁである。

だから、このまま聞き流しておけば問題ないだろうと思っていた。

きっとあとから上司のしたことというのがバレると、雅は信じていた。

しかし。

「全く。こんな損失をしたからには、貴様をクビにしなければならないな」

ちょっと待てクソ親父。
雅はとっさにそう言おうとしたが、すんでのところで止めた。何となくヤバかった。もし言っていたら、速攻クビになっているところだった。

「クビ、ですか」

「そうだ」

ニヤニヤと汚い笑みを浮かべる上司を見ながら、雅は重たいため息を吐いていた。

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