アスカラール
結果がわかっているとは言え、いざ前に進もうと思ったら勇気が出てこなかった。

(成孔さんのストレートな性格がうらやましい…)

勇気のない自分に美都は泣きたくなった。

最寄り駅から会社へと向かっていたら、
「おはようございます、美都さん」

高崎に声をかけられた。

「おはようございます、高崎さん」

美都はあいさつを返した。

「ずいぶんと浮かない顔をしているみたいですけど、何かありましたか?」

そう聞いてきた高崎に、
「あー、はい…」

美都は自分の頬に手を当てた。

彼に指摘されるくらい、自分は相当なまでに悩んでいたみたいだ。

「よろしかったら相談に乗りますよ」

微笑みながらそう言った高崎に、
「…相談できることなのかどうかはよくわからないんですけど」

美都は話を切り出せばいいのかどうか迷った。
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