アスカラール
ムーンライトセレナーデ
この場を離れる和香と律の後ろ姿を見送ると、
「それじゃ…」

成孔はそう言って、美都の顔を覗き込んできた。

「ここで立ち話もあれだから、ビルの中に入って事情聴取をしようか」

そう言った成孔に、
「はい…」

美都は観念するしか他がないのだった。

先ほど出たばかりのビルに成孔と一緒に入ると、54階にあるバーにきた。

夜景がキレイでバーテンダーはイケメン揃いと有名なのだが、敷居が高過ぎると言うこともあり、足を踏み入れたことは1度もなかった。

美都はカシスオレンジを、成孔はカミカゼを頼んだ。

「それで何があったの?

どうして俺の電話やメールに返してくれなかったの?

俺、何か美都の気に障るようなことをしたかな?」

カミカゼを1口飲むと、成孔が問いつめてきた。
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