アスカラール
またお菓子のような甘い香りが漂ったので、
「――あ、あの…!」

美都は顔をあげた。

「じゅ、柔軟剤か何かの香りなんですか?

さっきから、甘い香りがするんですけど…」

「甘い香り?

…ああ、なるほどね」

美都の問いに成孔は納得をしたと言うように、首を縦に振ってうなずいた。

「香水だよ」

成孔が答えた。

「…香水?」

呟くように聞き返した美都に、
「テュエリー・ミュグレーの『エンジェル』って言う香水だよ」

成孔は答えた。

「ああ、ごめん。

もしかして、香水は苦手だった?」

思い出したと言うように聞いてきた成孔に、美都は首を横に振って答えた。

「そう、ならよかった」

成孔はそう返事をすると、また美都と唇を重ねた。
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