アスカラール
初めてキスをされたと言うのに、嫌な気分にならないのは何故だろうか?

彼が身につけている香水の甘い香りに酔ってしまったからなのだろうか?

「――ッ…」

何も感じていない、それどころか心地よさを感じている自分に、美都は驚いていた。

唇が離れたかと思ったら、成孔に見つめられた。

「――決めた」

成孔が唇を動かしたかと思ったら、そんなことを言った。

「――えっ…?」

訳がわからなくて聞き返した美都に、
「美都を俺のものにする」
と、成孔が宣言した。

「も、もの…?」

(私は商品じゃないんですけど!)

美都は心の中でツッコミを入れた。

成孔は口角をあげると、
「ずっと君が欲しくて仕方がなかったんだ。

だから、覚悟してね」

そう宣言すると、美都と――3回目となる――唇を重ねた。
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