Black Cherry ~にゃんこな彼女は一筋縄では捕まらない~

昨夜、BAR Plumeで見かけた一人飲みの彼女はスリムで綺麗な人だった。
さながら、しなやかでなかなか懐かない黒猫みたいな印象の彼女。
一人で飲んでいるのに、話しかける隙が見当たらない。


BARで飲んでる男達は皆彼女を気にしているが、声をかけられる猛者は現れない。
彼女は二杯目にミモザを飲んでいる。
あまりお酒に強くないのだろう、彼女はこれを飲んだら帰ってしまう。
俺はこの出会いを逃す気はなかった。

一目惚れなんて信じてなかった俺が、この出逢いで恋に落ちた。
しかも、彼女は自分から惚れた初めての相手。
理屈なんてなくて、彼女が俺にとっての最後の相手だと直感していた。
恋に落ちるとはよく言ったもので、ホントにこの夜出会ってすぐ、ストンと落ちてしまった。


このBAR Plumeは長い付き合いの友人リュウが営む店で俺は常連だ。
一人で飲みたい時はここに来る。
だから、ここではナンパすることは無く、逆ナンされても受け流す。


しかし、俺はここで出逢った彼女を手に入れたい。
初めて、自分から相手に声をかけた。

自分の容姿は整っていて黙ってれば向こうから寄ってくる。
そんな感じで来る者拒まず去るもの追わずの俺が、初めて自ら動いた。
それを知ってるはずだからこそリュウにからかわれた。

「お前、俺の店であんまり女の子に手を出すなよ?」

その言葉はニヤニヤした顔で言われた。


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