身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい
患者の元に通うのは、レーナたっての希望故、止むに止まれず容認した。
しかし助手の継続如何に関しては、具体的にレーナと話しをした訳ではなかった。けれど俺が、これ以上レーナが苦境に立つ事を許可できない。
レーナの失態は軍所属の皆の知るところになった。そうなれば、助手とはいえレーナの手当てを望む兵士はいない。
そんな針の筵のような状況を知りながら、レーナに助手を続けさせるなど、たとえレーナが望んだとしても容認できる訳がなかった。
「ブロード将軍、分かっとるよ。きっと、嬢ちゃんの為にもその方が良い。ここは若い娘の来る場所じゃぁない」
老齢のクレイグスも、俺と思いは同じだった。
「すまん。ありがとう、クレイグス」
俺はクレイグスに最後にもう一度深く頭を下げ、医務室を後にした。