身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 どうやら私は一人、考え事に没頭してしまったらしい。

「ごめんなさい! ぼうっとしちゃってて、すっかり考え込んじゃってました」
「いや、なに。あまりにも静かなものだから、具合なんかが悪くなければいいんだ」

 慌てて謝れば、ブロードさんは気にしたふうもなく笑って返す。

「ブロードさん……」
「ん?」

 数多の夢と可能性を育む、初等教育。

 ブロードさんは言い淀んだ私を急かそうとせず、ただ静かに寄り添う。

「ブロードさん、私、今日教会で子供達に教えていて思いました。……私、これからも子供達に勉強を教えたいです! 私、先生に、なりたいです!」

 一大決心を告げた。

 一息で言い切って、カラカラに乾いた喉に空唾を呑み込んだ。


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