身代わり女神は、過保護な将軍様に愛されるのに忙しい

 愛おしさを自覚した今、ブロードさんに愛を伝える事に躊躇はなかった。心の内、溢れる想いを余さず言葉に……!

「ブロードさん、私っ」
「あの~、取り込み中のところアレなんですが、流石にそろそろお腹いっぱいというか、胸やけしそうというか……コホン。いえ、とにかくこれ以上は衆人の目も気になりますので、いい加減に場所を移りましょう」

 割って入った第三者の声に、私はバネ仕掛けのようにブロードさんの腕から飛び出す。そうしてギシギシと軋む動きで振り返る。

「ア、アアア、アボット君!?」

 ところが振り返った私を襲うのは、ボディーブローによろめいたところをアッパーで追撃されたようなダブルの衝撃。

 声は確かにアボット君。だけど三百六十度どこから見ても隙の無い猛烈美女は、アボット君とは思いたくない。

 あ、……だけど肩幅に開いた足に、ヤレヤレとばかりに踏ん反りかえった腕組み。その立ち姿は、なんだか女性らしくない。


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