龍使いの歌姫 ～幼龍の章～
「狩りが本当に上手くなったね。実力はもう僕より上じゃないかな？」

「何言ってるんですか師匠。私はまだまだですよ」

レオンに褒められながらも、レインは困ったように苦笑している。

何故なら、お世辞だと思っているからだ。

三年間レオンの元で過ごし、レインは十五才となった。

身長も少し伸び、首の付け根までしか伸びてなかった髪は、肩より少し下まで伸びた。

明るく聡明で良く笑う子に成長し、そうなることを望んだレオンとしては、嬉しく思う。

だが、その反面寂しくなる。

今では狩りも家事もレインが率先してやっており、前はこちらが世話をしていたのに、いつの間にか世話をされる側になり、少々複雑だ。

良く笑うが、時々静かな光を瞳に宿し、明るいが、冷静な判断力も持っている。

聡明だがお堅くはなく、子供らしい一面もある。三年の間に、大人へとちゃんと心が成長している。

だが、すべてを受け止めるほどの強さはない。

「師匠。ティアの様子はどうですか？」

「んー、もうそろそろ。多分明日の晩か明後日の朝方かな？」

三年の間、卵―もといティアはどんどん重くなり、持ち上げるのも困難になった。

大きさはあまり変わっていないようだが、レオンが言うにはちゃんと成長しているらしく、それを嬉しく思う。

長かった。

一年でも長かったが、一日経つ度にまだ生まれないとガッカリし、家事をしている時も狩りをしている時も、ティアのことが気になって仕方なかった。

それが、明日か明後日には生まれる。

そう思うと、胸の奥からワクワクした落ち着かない気持ちが沸き上がる。

まるで、ティアナから誕生日のプレゼントを貰ったあの日のように。

「楽しみです！ね、師匠！」

「そうだね」

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