絶対命令アプリ
歩とツバサの接点なんて同じ学校のA組の生徒、という点しか知らない。


2人がどこで会っているかなんて、見当もつかなかった。


けれど歩はツバサを見つけ出し、あたしの命令を実行するはずだ。


「歩! 歩、どこ!?」


人通りの少なくなった道を、声を上げながら走る。


街灯の明かりだけを頼りに探すのは困難を極めたが、2人とも家はそう遠くないはずだった。


時々足元につまづきながら走り続ける。


シャワーを浴びたばかりなのに、もう全身に汗が滲んでいた。


大きな河沿いを走っていると河川敷に人影が見えた気がして立ち止まった。


ここからじゃ誰だかわからない。


それは真っ黒な影だった。
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