独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
彼が気に入ったフィリーネのためにドレスを贈ったと周囲に見せるために、母が最近贔屓にしている仕立屋に連れて行ってやることにした。その程度の出費、痛手でもないし、協力してくれる礼をしたかったというのもある。
だが、フィリーネを見直すきっかけになったのは、連れて行った先での仕立屋との交渉だったのかもしれなかった。
自分の隣で虫よけとして役に立ってもらう以上、ある程度の出費は覚悟していたけれど。
まずは、自身のドレスを三着。それからレースの販路を確保。
約束を取り付けて、店を出たフィリーネは、アーベルの目にはとても眩しく映った。こんな風に、誰かを見ているなんて——ありえない。
(いや、フィリーネはまずいだろう——)
かつては、エイディア大陸全土を支配していた大国。だが、今は山の中にひっそりと暮らす人達だ。
隣国である以上、友好的な関係を崩すつもりもないけれど、他国よりも深く踏み込んだ付き合いをするような相手でもない。
——それなのに。
『森の乙女、ドリーのレースは植物をデザインに使っているの。だから、庭園でのティーパーティーとか、ピクニックに行く時にいいと思って』
仕立屋のクラインを前に、それぞれの品について熱心に語る。その横顔から目が離せなくなった。
だが、フィリーネを見直すきっかけになったのは、連れて行った先での仕立屋との交渉だったのかもしれなかった。
自分の隣で虫よけとして役に立ってもらう以上、ある程度の出費は覚悟していたけれど。
まずは、自身のドレスを三着。それからレースの販路を確保。
約束を取り付けて、店を出たフィリーネは、アーベルの目にはとても眩しく映った。こんな風に、誰かを見ているなんて——ありえない。
(いや、フィリーネはまずいだろう——)
かつては、エイディア大陸全土を支配していた大国。だが、今は山の中にひっそりと暮らす人達だ。
隣国である以上、友好的な関係を崩すつもりもないけれど、他国よりも深く踏み込んだ付き合いをするような相手でもない。
——それなのに。
『森の乙女、ドリーのレースは植物をデザインに使っているの。だから、庭園でのティーパーティーとか、ピクニックに行く時にいいと思って』
仕立屋のクラインを前に、それぞれの品について熱心に語る。その横顔から目が離せなくなった。