独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
特に目立つような美人ではないのに。
政略的に結びつきを深めるのが必要な相手でもない——それなのに。
『いえいえ、このレースでしたら、夜に映えると思いますよ。肩の飾りに使うとよろしいでしょう。そうでなければ——ショールのように肩に羽織っても』
『素敵! じゃあ、そうしようかしら』
クラインの提案に、満面の笑みを浮かべて手を打ち合わせる。それから、すぐに冷静な表情を取り戻して、次のレースを取り上げる。
『これは、雪の乙女、シエルのレース。雪を黒い紙に落とすと、きれいな結晶が見えるでしょう。それをデザインしたの。袖口につけて手首を飾ったら素敵よね』
『胸元の飾りにしても素敵でございますよ。模様の美しさを最大限に見せたければ、スカートに着けて大胆に見せてもよろしいかと』
『そうよねえ……やっぱり、レースを主役に見せるくらいの勢いの方がいいかしら?』
それぞれのドレスに合うレースを懸命に選び、クラインと交渉を重ねる。そんな彼女の様子を見ていたアーベルだったが、口を挟むことはできなかった。
政略的に結びつきを深めるのが必要な相手でもない——それなのに。
『いえいえ、このレースでしたら、夜に映えると思いますよ。肩の飾りに使うとよろしいでしょう。そうでなければ——ショールのように肩に羽織っても』
『素敵! じゃあ、そうしようかしら』
クラインの提案に、満面の笑みを浮かべて手を打ち合わせる。それから、すぐに冷静な表情を取り戻して、次のレースを取り上げる。
『これは、雪の乙女、シエルのレース。雪を黒い紙に落とすと、きれいな結晶が見えるでしょう。それをデザインしたの。袖口につけて手首を飾ったら素敵よね』
『胸元の飾りにしても素敵でございますよ。模様の美しさを最大限に見せたければ、スカートに着けて大胆に見せてもよろしいかと』
『そうよねえ……やっぱり、レースを主役に見せるくらいの勢いの方がいいかしら?』
それぞれのドレスに合うレースを懸命に選び、クラインと交渉を重ねる。そんな彼女の様子を見ていたアーベルだったが、口を挟むことはできなかった。