独占欲強めの王太子殿下に、手懐けられました わたし、偽花嫁だったはずですが!
「ほらほら、王太子殿下がお出迎えですよ!」

 ヘンリッカは楽しそうに背中を押した。フィリーネはため息をついた。
 アーベル自ら迎えに来てくれるというのは、本来ならものすごく感謝しなければいけないことなのだろうが、これから先のことを考えれば気が重い。
(三ヵ月だけって話だから引き受けたけど、こういう注目のされ方を望んでたわけじゃないし)
 フィリーネが注目してほしいのは、ドレスであって、フィリーネ本人ではない。
 なのにアーベルといつも一緒にいるせいか、ドレスより自身に人々の注目が集まってしまって居心地悪いとしか言いようがない。

「フィリーネ、どうした?」
「いえ、なんでもないです——アーベル様が気にするようなことじゃ、ないんです」

 アーベルとしては、当初の目的を果たすことができて、都合がいいのだと思う。
 フィリーネを連れている時に彼に話しかける令嬢は、じろっとにらめばすむ分、以前より楽になっているはずだ。
 けれど、その隣にいて、じっとりとした視線を向けられるフィリーネにとっては、予想してはいたものの、やはり居心地が悪い以外の何物でもなくて。
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