"鬼"上司と仮想現実の恋
そうしているうちに、部長がバスローブ姿で戻ってきた。

「暁里、お待たせ。」

髪が湿ったままで無造作に掻き上げただけの部長は、いつも以上に艶めいて見える。

「暁里、おいで。」

そう言われて、私は部長の前に立つ。

これ以上、どうすればいいのか、分からない。

くすっ

部長は笑みをこぼすと、

「暁里は何もしなくていいから、ただ俺の
腕の中にいて。」

そう言ってベッドルームへといざなった。

薄暗いベッドルームで、部長は私をぎゅっと抱きしめる。

「暁里、好きだよ。
愛してる。」

そして、少し腕を緩めると、優しいキスをした。

ついばむように、何度も何度も唇を重ねて、少しうっとりとし始めた頃、その少しの隙間から舌が差し入れられた。
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