"鬼"上司と仮想現実の恋
「でも、仲良しに見えたよ。
社長も悠貴さんがかわいくて仕方ないって
感じがすごく出てたし。」

「離れて暮らす1人息子だったからな。
多少、子離れ出来ないのは、仕方ないとは
思うけど、暁里の事だけは譲れないから。」

「ふふっ
ありがとう。
悠貴さん…

………大好き。」

私がそっと小さな声で言うと、

「暁里、かわいい。」

と言って、悠貴さんは私をぎゅって抱きしめてくれた。

………が、その直後、到着したエレベーターの扉が開いた。

「部長も瀬名も、そういう事は勤務時間外に
違う所でやってもらえませんか?」

背中越しに田中君の呆れ声を聞いて、私は慌てて悠貴さんから離れようとしたが、悠貴さんは離してくれなかった。

「悪い、今、充電中なんだ。
完了するまで待ってくれ。」

悠貴さんが言うと、

「待てません!
充電は勤務時間外にお願いします!」

と言われた。

確かにそうだよね…

田中君、ごめんね…


田中君の言葉を聞いて、悠貴さんは渋々腕を緩めて私を離してくれた。

「仕方ないなぁ。
暁里、一緒に帰ろ?」

悠貴さんの優しい笑みを向けられて、私はまたきゅんきゅんが止まらなくなった。

悠貴さん、大好き…



─── 呼び出し Fin. ───
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