"鬼"上司と仮想現実の恋
「え!?」

私が驚いて聞き返すと、

「富田さんから、幸せオーラ溢れてない?」

と言った。

言われてみると確かに、百合ちゃんはとっても幸せそうな笑顔を浮かべている。

「富田さんもちょっと鈍そうだから、昨日も、
ほんとは田中は2人で遠出したかったのに、
富田さんが長谷部たちを誘っちゃったとか?」

「ふふっ
言われてみると、そんな気もする。」

自分たちの結婚パーティーなのに、田中君たちがうまくいく事の方が嬉しいなんて、ちょっと変?


・:*:・:・:・:*:・

30分程経った所で、司会者に紹介されて社長がマイクを持つ。

「本日は息子悠貴と暁里さんの結婚
パーティーにお越しくださり、ありがとう
ございます。

悠貴は、愚息ながら、月1億を超える売上を
誇る営業マンとしての実力を評価し、
数年前から管理職に据えております。

また、その管理職としての仕事ぶりを評価し、
昨年、本社に異動させました。

その直後、システムエンジニアだった
暁里さんに営業の才能を認め、自ら指導し、
彼女もまた営業になって1年も満たないにも
拘らず、先月ついに1億を超える売上を
上げました。

ここに並んで座っております2人は、今後、
弊社を背負って立つ2人です。

どうか今後とも、ご指導ご鞭撻のほど
よろしくお願い申し上げます。」
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