"鬼"上司と仮想現実の恋
10時。

「瀬名、行くぞ。」

部長に声を掛けられて、慌ててついて行く。

「情報、入ってるな?」

「はい。」

「今日は何も喋らなくていいから、黙って
見てろ。」

「はい。」

じゃあ、なんで暗記させたの?

2人で電車を乗り継ぎ、訪問先に向かう。


「こんにちは。
ヒロセ事務機器の佐久間と申します。
本日10時半に佐藤部長を訪問する約束に
なっているのですが、いらっしゃいますか?」

佐久間部長、爽やかイケメンの笑顔だ。
受付嬢の目がハートになってる…

「はい、少々お待ちくださいませ。」

受付嬢が内線をかける。

「3階でお待ちしております。
左手のエレベーターでお上りください。」

「はい。ありがとうございます。」

部長はにっこり笑って会釈をすると、エレベーターに向かって歩き出す。

私も会釈をして慌ててついて行く。
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