艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
長いキスが終わって、ぺろ、と彼が私の唇の端を舐める。
その時になって、そうだ砂糖の甘さだと、唾液がただ甘いわけはないと気が付いた。


「甘いね」


彼が、くすっと笑った。砂糖の混じった互いの唾液の味だったのだと気が付くと、急速に恥ずかしくなってきて、同時に段々と頭もはっきりとし始める。


なのに、葛城さんはまだ私を片腕に抱いたまま、頬や耳の傍にキスを続けていて。


「もう一回していい?」


片手がなぜか、私の太腿を撫でている。


「や、ま、待って……」

「甘くて美味しい」

「そ、それ琥珀糖だから!」


慌てて太腿にある彼の手を、上から握って阻止した。

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