艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「葛城さんには、よくしていただいてます」
まだ婚約は正式ではない。だけどもう、言ってしまっても問題ない気がする。さっきのパーティでの話では、問題なく技術の共有は出来ているようだ。
それでも無難な言葉しか選べない自分が嫌になる。私は、あまりに世間知らずだ。
「心配じゃない? 技術の流出とかさあ」
「そこは父や兄と、彼が折り合いをつけるところですね。私は良く知らないんです」
そして世間知らずをそのまま露見させておいた方が、都合が良いのだと判断した。会社同士の付き合いだけでなく葛城さんと私の関係も順調であり、あくまで友好的な業務提携なのだと、そうしておけば足元をすくわれる可能性が少なくなる。情けない方法だが、それが一番無難で確かだ。
微笑みを崩さずにいると、じっと私を見ていた柳川さんが、面白くなさそうに目を逸らした。