艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「藍……っ」
背後から私の体を抱きすくめる彼の甘くそれでいて切なげな吐息が、首筋に触れる。
優しく、じっくりと身体が揺れる。
前に回った手が、腹を撫で胸を持ち上げ。うなじに濡れた感覚が触れた。温かな舌が、労わるように撫でてくる。
欲情をぶつけられるような、激しいものは欠片もない。
ただしっとりと、互いの肌の温もりと呼吸を確かめるような、そんな抱かれ方は初めてで。
もどかしさの中にも、溢れるような幸福感に満たされた。