艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

『で、どうだった?』

「え。あ……どう、って」


葛城さんの方から本題を切り出していただいて、我に返る。そう、そうだ。釣書の話をしなければいけない。


「どうもこうもないです! なんなんですかあれ」

『何って……ああ、情報足りなかった? だけどそれ以上は、会ってお互いに知っていくのがいいと思ったんだけど』

「そういうことじゃないです! なんで釣書なんですか、違うでしょ! 縁談で生じる取引とか現状とか、そういうことを教えてくれるんじゃないんですか!?」


苛立ってつい声を荒げた。だけど、葛城さんは私が怒ってる本当の理由もわかっているんだろう。電話の向こうで含み笑いをしているのが聞こえてくる。


「……馬鹿にしてるんですか」

『違う違う、そうじゃないよ。明るくて覇気のある子だとは思ってたけど……気が強いよね』

「それはどうも、お好みじゃなかったらすみません」

『いや、全然。可愛いよ』

「かっ……」


言われ慣れない言葉にまた、絶句する。そして頭の中で警告音が鳴る。
だめだ。こんな、軽い口調で女に向かってさらりと『可愛い』なんて言える男は危険だ。

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