艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
明るい政略結婚のススメ
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「えっ。ま、待って、いきなり?」

「いきなりも何も、言ったはずだよ」

「そっ、それは、そう、だけど」


ホテルの通路で、尻込みして後ずさる私の手首を掴み、強く引き寄せると。
彼は耳元で、甘く囁く。


「今日から君は、俺のものだって」


耳朶を吐息がくすぐり、ぞわわっと背筋を走る、何か。
どんっと彼の胸を突いて押し返した。


「だから! なんかやらしい演出でわざわざ言わないでくださいよ!」

「はははっ」


パーティ会場はもう目の前だ。彼が言ってたとあるイベントの決起大会、その後の立食パーティがこの中で開かれているという。


「俺と君が、婚約した、もしくは婚約間近。それを周知の事実にするには今日が一番、都合がいい」

「……それは、よく、わかりましたけど」


問題は、このパーティがまさしく大物だらけのパーティだということだ。



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